〒939-8271
富山市太郎丸西町2-8-6
076-421-0238
(当院 通院中の患者さんは、診療時間後に治療や症状に関してご質問や意見を求めたい場合、上記電話番号にご連絡下さい)
FAX: 076-421-0207
(医療機関など連携用のメールアドレスです)
アルコール依存症
当院における依存症治療の特徴
1.通院治療で治療が可能
2.入院医療機関との連携治療
3.依存症治療に習熟したスタッフ
4.ピュア・サポーターが援助
5.ACTによる訪問や往診
6.低減治療の実施
7.家族へのサポート体制
8.SBIRTへの取り組み
ARP(アルコール・リハビリテーション・プログラム)について
アルコール・リハビリテーションプログラムは通称ARPと総称されている。当院では、アルコール依存症者がデイケアに通院し、デイケアのプログラムの一貫としてARPが実施されている。場合によっては、一般デイケアの人と、料理やお茶の作法などを合同プログラムとして一緒に実施する場合もあるが、多くの時間は、右にあるテキスト本のSMARPP(Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program)をアルコール依存症にも対応できるように改変されたものを利用しながら実施している。
ARP家族教室
1については、富山市民病院で行っていたアルコール治療の実績に基づいています。富山市民病院では、精神科病棟縮少に伴い、アルコール治療は入院医療から外来医療に転換し、以前に入院病棟で行っていたアルコールリ・ハビリテーション・プログラム(ARP)をデイケアで実施する方法に切り替え、いろいろ工夫することにより入院医療で得た治療成績とはぼ変わらないという実績を示すことができたからです。その時に実施手していた方法はスタッフをほぼ引き継いで当クリニックで実践できるからです。
2については、アルコール依存症の方は「やめよう。やめたい。」という気持ちがあっても、病気のためにアルコールを断ちがたい点があります。また、アルコールにより身体も蝕まれています。通院治療の工夫として、解毒期(1週間から2週間)を主に総合病院の精神科に入院していただき、体からアルコールを抜いていただき、外来でのARPをより効果的に実施していただくことになります。何とかアルコールを止めることができれば解毒入院は必要ありません。また、解毒入院医療機関として、富山市民病院や富山県立中央病院の精神科との連携を図っています。希望があれば、民間病院の谷野呉山病院などにもお願いすることもあります。
3については、富山市民病院でアルコール医療に関わってきた、医師、臨床心理士、看護師が勤務しております。アルコール治療に携わった経験を活かすことができるスタッフがお待ちしています。
4については、ピュアとは「仲間」を意味します。当クリニックの職員としてお二人のピュア・サポーターをお迎えしており、水、金曜日のアルコール外来の際にいろいろな情報提供や援助をしていただいております。
5については、ACTとは聞き慣れない用語ですが、Assertive Community Treatment(包括型地域生活支援プログラム)の略で、従来の医療では支えきれないアルコール依存症者を家を含めた地域生活の中で暮らせるように援助する活動を指しています。ACTチームは家族の方とともに、一人暮らしの場合にはその方を支えてきた方とスクラムを組み、「飲むお手伝いはしませんが、病院通院やアルコール依存症回復プログラムや断酒会やAAへの参加へのお手伝い」を積極的に行います。また、日本でアルコール依存症にACT導入した最初のクリニックでもあります。
但し、ACTの対象者は当院より車で30分以内で、導入基準にあった方です。詳しい事は担当の主治医の先生に相談してください。
6については、従来はアルコール依存症の治療目標は断酒が世界の潮流でした。しかしながら、断酒補助剤のアカンプロサート(商品名:レグテクト)や飲酒量低減薬のナルメフェン(商品名:セリンクロ)などが使用できるようになってから、お酒の量を減らす(低減)という選択肢を治療のひとつとして採用する流れがあります。当医療機関は、断酒は治療のメインであるが、まだ断酒をする気持ちになっていない方や断酒をする気がない方にも治療を場を提供することにしております。
7については、この病気について知識を高め、対処方法を家族間でも共有し、新しい生活を獲得する場の提供として「ARP家族教室」を提供しています。
SMARPPは以下のように第1回~第28回の章にわかれ、それを学習するようになっている。
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第1回:「なぜ,アルコールや薬物をやめなきゃいけないの?」
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第2回:引き金と欲求(1)
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第3回:引き金と欲求(2)
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第4回:精神障害とアルコール・薬物乱用
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第5回:アルコール・薬物となじみ深いものとお別れしよう
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第6回:アルコール・薬物のある生活からの回復段階―最初の1年間
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第7回:アルコールと薬物を使わない生活を送るために注意すべきこと
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第8回:これからの生活のスケジュールを立ててみよう
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第9回:合法ドラッグとしてのアルコール
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第10回:マリファナはタバコより安全?
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第11回:引き金-考え-欲求-使用
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第12回:あなたのまわりにある引き金について
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第13回:あなたのなかにある引き金について
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第14回:回復のために(1)――信頼と正直さ
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第15回:回復のために(2)――社会復帰と仲間
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第16回:覚せい剤の身体・脳への影響
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第17回:依存症ってどんな病気?
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第18回:危険な状況を察知する
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第19回:アルコールを止めるための三本柱―抗酒剤について―
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第20回:再発を防ぐには
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第21回:アルコールの問題を抱えた人の予後
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第22回:再発の正当化
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第23回:アルコールによる身体の障害(1)肝臓の病気
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第24回:性の問題と休日の過ごし方
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第25回:アルコールによる身体の障害(2)その他の臓器の病気
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第26回:「強くなるより賢くなれ」
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第27回:アルコールによる脳・神経・筋肉の障害
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第28回:あなたの再発・再使用のサイクルは?
e-メンタルヘルス・マガジンは日本総合病院精神医学会の広報委員会による病気をわかりやすく理解していただくために作成されたものである。元委員であった当院の院長吉本博昭が、第21号から第39号にわたってアルコール関連障害について紹介したページがある。当時は筆者が若かったこともあり、筆が滑っているところもあるが、今も参考になるのでないでしょうか。
アイ・クリニックでは、ご家族の皆さまとともにお困りのことを解決するべく、3ヶ月に1回、「ARP家族教室」を行っております。参加者の皆さまとともに学び合う中で、ご家族の中からも良い解決策が生まれればと考えております。是非、日程を御覧になって気楽に参加していただければと思います。
開催方法
4ヵ月に1回(原則として第2土曜日)、15時15分~17時、アイ・クリニックのミーティング室で実施いたします。参加は、どの回からでもできます。参加費は無料です。
お約束
参加された方々には、次の点をお守りいただく事により、この場で話された秘密は遵守されます。それは、この教室で聞かれた他の家族の方のお話は、その場に置いて帰ることを実行していただくことで実現されます。
また、話しが苦手で参加されることを躊躇される場合は、話しをしたり答えることは「パスします」と言うことで、話し会いに参加できます。パスさせて下さいも、大事は意志表示です。尊重されます。
開催日・内容
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第 1回:「知ってほしいアルコール依存症について」(平成29年6月10日 担当:吉本) 第 2回:「アルコール依存症と回復」(平成29年9月2日 担当:山野)
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第 3回:「アルコール依存症と家族」(平成29年12月9日 担当:吉本)
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第 4回:「ARPとSMARPPについて」(平成30年3月10日 担当:井上)
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第 5回:「アルコール依存症の治療とは」(平成30年6月16日 担当:吉本)
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第 6回:「アルコール依存症と回復」(平成30年9月22日 担当:山野)
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第 7回:「アルコール依存症と家族」(平成30年12月15日 担当:吉本)
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第 8回:「ARPとSMARPPについて」(平成31年3月9日 担当:井上)
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第 9回:「知ってほしいアルコール依存症について」(令和元年6月15日 担当:吉本)
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第10回:「アルコール依存症と回復」(令和元年9月14日 担当:山野)
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第11回:「アルコール依存症と家族」(令和元年12月14日 担当:吉本)
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第 12回:「ARPとSMARPPについて」(令和2年3月7日 担当:井上)
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第 13回:「知ってほしいアルコール依存症について」(令和2年11月14日 担当:吉本)
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第 14回:「高齢のアルコール依存症について」(令和3年7月17日 担当:吉本)
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第6回 飲酒による身体問題(第26号)
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第9回 飲酒による社会的問題(第29号)
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第10回 アルコール依存症治療劇(第30号)
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第11回 依存症とシステム療法(第31号)
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第13回 否認について(第33号)
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第14回 内観療法について(第34号)
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第15回 断酒の3本柱(第35号)
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第16回 自助グループ(第36号)
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第17回 抗酒剤(第37号)
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第19回 アルコール依存症と偏見(第39号)
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第20回 エピローグ(第40号)
症例検討会
ARPや一般デイ・ケア、ACTなどに関わった悩む症例につきましては、定期的に症例検討を行っています。ディスカッションを通して情報共有はもちろんの事、各スタッフのスキルの向上、並びに、治療方針などが討議され、有意義な場の提供となっています。
いただければと思います。
8については、SBIRTとはスクリーニング(Screening),ブリーフ・インターベンション(Brief Intervention),専門治療への紹介(Referral to Treatment)の頭文字をとったもので、早期発見、介入、専門治療機関への紹介とする一連の取り組みに積極的に支援していきます。
現在、ARP受講者はコロナ下で制限させていただいております。新規の希望者はしばらくお待ち下さい。
e-メンタルヘルス・マガジン
(第21号~第39号まで)
Copyright(C) 2019 Hiroaki Yoshimoto
症例検討中のホワイトボード